Fate in Recode
没ネタ系第二弾…というかFate/staynight Realta Nua プレイ後
最初に思い浮かんだのはこちらのネタ。
ある意味職業病。
例によってシリキレトンボ。
それでもいい方のみ続きをどうぞ。


「こんにちは、荷物をお届けに参りました」
 にっこり笑って挨拶したこちらを、相手は異物を見る目で見返した。
実際異物なんで、その態度についてはどうでもいい。
「英霊□□□さんで間違いありませんね?」
「貴様、何者だ」
 何者なんでしょうね、俺は。
「んー、通りすがりのNPC?」
 通行人程度の、いてもいなくても進行に影響がない程度の。
『ようこそ○○へ』って出迎える町娘程度の。
「 …… 」
 沈黙と共に眉間の皺が深まる。
「まぁ、何でも屋です。主にメンテナンス系の」
 眉間の皺が(以下略)
「一度きちんとお話した方がいいと思ってお邪魔したんですが、お時間よろしいで
しょうか?」
「生憎、勧誘も押し売りも間に合っている」
 ああ、やっぱりその手の科白に聞こえたか。我ながらどこのキャッチかと突っ込
んでいたところなんで同一認識で有り難い。
「そんなんじゃありません。今回の記録をお届けに───」
 瞬間、空から具現化された刃が何の躊躇もなく振り抜かれる。

 ギンッと歪な金属音が響いた。

「っとに、容赦ねぇな」
 7分割とか14分割とか勘弁してほしいんですけど。
「馬鹿な」
「バカはアンタです」
 予想通りの反応に笑いを通り越して呆れる。
「アンタに俺の書込権限、削除権限はありません」
 故に、アンタの攻撃は通じない。ペン1本でだって弾き返せる───なんていって
も理解できないだろうけどね。
「はい、俺、丸腰。英霊とガチンコ対決なんて御免被るんで、その辺よろしく」
 本題入りたいんですけど、いいでしょうか?
「アンタ、確認メッセージ読まずに『はい』を選ぶクチでしょ」
「何の話だ」
「アンタの話です」
 言い返して、溜息が一つ。
「『保存しますか?』『上書きしますか?』『圧縮しますか?』───確認メッセージ、
読まずに『はい』を選んでるでしょ?」
 興味がないから、そんなメッセージにさえ気づいてない?
「色んなメッセージがあるけど、一つだけ、俺、提示していないメッセージがあるんだ
よね」
「何がいいたいのだ、貴様は」
「『削除しますか?』───俺、アンタに一度も提示してないよ?」
 眉間の皺が増える。
「記録に関していえば、アンタは何も失っていないっていってるんだけど、理解できる?
 摩耗して消えるって、どこの接触型記録媒体だよ」
 その姿形で磁気テープか? フロッピーディスクか?
「百歩譲って皮膜が酸化したってんなら、情報劣化もありですけどこの環境でそれはない。
アンタ自身の情報検索経路が途絶したとしても、情報そのものは何一つ欠けてはいない
───すべてココにある」
 つい、と指先が示したのは、英霊の胸。
「アンタが拒絶して、否定しても、悲しいかな、記録はすべてアンタの中へと降り積もる」
 アンタというフォルダの中へと積み上げられる。
現在はもとより、過去も未来もすべての情報を蓄積するこの場で「降り積もる」や「積み
上げられる」という表現より「開示される」という方が適切だろうか。
「───貴様、何者だ?」
 繰り返された問いかけは、先の誰何とは別の色。
「Operating System───この情報を統括する機能の一部」
 この情報群を巨大なデータベースと位置づければ、俺の立ち位置はその末端。
ついでに外部から何とかアクセスしようとしてる魔術師達はサーバにクラックかけてるよう
な位置づけだったりする。分不相応な辺りに手を出すと灼かれる辺りもよく似ている。

 ギンッと再度響く金属音。

「あらら…」
明滅する赤丸×印のメッセージウィンドウ。
まあ、変更権限なくても物理破損は生じるわな。
「俺を壊しても、契約継続されるよ」
俺なんてセル一つにも満たないし、ファイルを作り直せば破損前にもどるし。
とはいえ、今目の前でこうして話している俺は消えるわけで…。

「なぁ、□□□。繰り返し、繰り返し、いくつもの道をたどり、彼女達と出会い行き>着いた
結末は、本当に無意味だったのか? 何も生み出さなかったのか?」

問いかけの答えは、意識と一緒に0と1の海に消えた。

おしまい
2010.07.27 22:15 | pmlink.png 固定リンク | folder.png Fate関連

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